いま開発が進められているクルマのワイヤレス充電は、駐車場に埋め込んだ給電装置から電磁誘導作用や磁気共鳴作用によって電力を給電するシステムです。BEVではクルマの地上高の距離でも効率よく給電できる磁界共振方式が主流となっています。すでに自動車メーカーや電機系メーカー、大学などで実証試験が行われ、技術的には実用段階に入り、国際標準化・規格化が進められていますが、なかなかお目に掛かれないのが現状です。しかし2023年からは公道での実証実験が始まったり、産学横断の協議会が発足したりするなど、実用化の動きが盛り上がりつつあるのも事実で、2024年3月には国土交通省が道路管理者向けに導入指針を策定すると発表していますね。いよいよ日本の道路での実用化が現実味を帯びてきたと言えます。
この電気自動車(EV)の走行中に道路の路面から車両へ無線で電力を供給する「走行中ワイヤレス給電(Dynamic Wireless Power Transfer:DWPT)」システムは、道路から走行中に給電を受けられるため、充電スタンドに寄って充電する必要がなくなります。電欠の心配なく長距離を移動できるようにもなります。住宅に充電スタンドを設ける必要もなくなり、集合住宅に住む人でもEVを利用しやすくなるので、EVの普及拡大を阻む大きな壁が消失すると考えられています。昨今話題になっている自動運転との相性も頗る良いですね。最終的に化石燃料を給油する必要が無くなりますので、究極の未来の充電の形なります。
その上、コスト面でも大きな優位性があります。常に道路から電力を受けられるようになることから、EVに積載する蓄電池の容量を大幅に減らす、もしくは電池を無くすことも可能になりますね。道路上に充電設備を作ると、全国の高速道路と一般道で計約7兆円かかると試算されていますが、EVに搭載されている電池の総コストは将来的におよそ40兆円掛かるとされていますので、DWPTが普及した場合のEV(容量40kWh)では、同約16兆円となる計算です。この差分の約24兆円は、DWPTが普及しなかった際に生じる隠れた社会的コストだとも言えます。DWPTのインフラ整備にかかる費用も十分まかなえる金額なのです。走りながら充電!夢のような話ですが、案外早く実現するかも知れませんね。
